11月13日、プロ野球12球団による合同トライアウトが行われた。
12球団合同トライアウトに48人(投手29、野手19)が参加。西岡剛内野手(34=阪神)や成瀬善久投手(33=ヤクルト)らが現役続行目指しプレーした。
【記事: 日刊スポーツ】
トライアウト受験者や場所などについては前回の記事を参照してもらいたい。

合同トライアウトは契約解除選手の引退試合と見られている面もあり、支配下もしくは育成といった契約にこぎつけるのは至難の業。
(トライアウト参加選手のNPB再契約は毎年5%程度)
映像や各種データといった選手情報が溢れる昨今、トライアウト以前に各球団ある程度の目星はついており、キャンプでの独自テストなどへの根回しも済ませているのが現状だ。
だが、そんな中でも存在感を発揮し、光を掴む選手もゼロではないだろう。
今回は、トライアウトの結果も踏まえ、今後の動向に注目したい選手を数人ピックアップして紹介していこうと思う。
2018トライアウト 注目選手詳細【投手編】
- ※ 年俸は推定年俸
- ※ 年俸単位は(万円)
成瀬 善久(ナルセ ヨシヒサ)
巨人第21回戦(東京ドーム)14:00試合開始の先発は成瀬投手です。ご声援よろしくお願いします!#swallows pic.twitter.com/DS70OlptBo
— 東京ヤクルトスワローズ公式 (@swallowspr) 2017年9月10日
(元)所属 | ヤクルト | 年齢 | 33(1985/10/13) |
今季年俸 | 2000 | 投/打 | 左/左 |
身長/体重 | 180/87 | プロ年数 | 15 |
(通算・今季)成績 | |||
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トライアウト結果 | |||
最速は133キロ |
元ロッテのエース。
ボールのキレと制球力で勝負するベテランサウスポー。
実績は十分だが、14年から既に5年近く、思うような投球が出来ていない。
ロッテファンとしても密かに復活を期待しているのだが、二軍での投球と比較しても一軍での結果が全くと言っていい程についてこない。
今季はコンディションによるものか7月後半まで実戦登板無し。
9月には悪くない状態を見せてもいたので個人的には期待しているのだが……トライアウトでの結果は3打者に対して2被安打。
実績を信じてのオファーを期待したいが、少々厳しいか。
廖 任磊(リャオ・レンレイ)
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(元)所属 | 巨人 | 年齢 | 25(1993/08/30) |
今季年俸 | 720 | 投/打 | 右/右 |
身長/体重 | 201/125 | プロ年数 | 2 |
(通算・今季)成績 | |||
通算:一軍公式戦での出場なし 今季(二軍):17試合 19イニング 19奪三振14与四死球 防御率2.79 | |||
トライアウト結果 | |||
最速は152キロ |
台湾出身の右腕(国内ドラフトにかかっているので日本人選手扱い)。
巨人では秘密兵器と言われて二年、秘密のまま戦力外通告を受けてしまった。
201センチ125キロという規格外の体格から投じられる直球の威力は抜群で、奪三振能力も高い。
不安はバラツキのある制球力だろう。
トライアウトでは3打者を相手にして被安打0、2奪三振と能力の高さを見せた。
受験後「力のある直球をアピールできてよかった」とコメントしNPBが第一希望だが「僕の場合は台湾(CPBL)もある」と幅広く進路を見定めていく様子。
【ソース; スポーツ報知】
制球力への修正に自信のある球団であれば、間違いなく面白い素材だ。
今後手を挙げる球団があるかどうか動向を見守りたい。
須田 幸太(スダ コウタ)
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(元)所属 | DeNA | 年齢 | 32(1986/07/31) |
今季年俸 | 3600 | 投/打 | 右/右 |
身長/体重 | 176/72 | プロ年数 | 8 |
(通算・今季)成績 | |||
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トライアウト結果 | |||
最速は140キロ |
16年には62試合に登板し防御率2.68とチーム初のCS出場に大きく貢献した右のリリーフ。
しかし、16年終盤の怪我(左太もも肉離れ)が影響したのか17年には登板23試合、防御率8.10と大きく成績を落とし、今季も復調できずに戦力外通告を受けた。
トライアウトでは、参加者の中でも比較的実績のある打者を相手に被安打0の1奪三振。
安定感ある投球で存在感を発揮した。
不安は最速140キロに留まった球速。
元来、速さではなくキレと制球で勝負するタイプではあるが、16年には150キロ近い球も投げていた。
年齢も32と即戦力としての評価になるため、12球団が現状をどう見るかは微妙なところか。
若松 駿太(ワカマツ シュンタ)
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(元)所属 | 中日 | 年齢 | 23(1995/02/28) |
今季年俸 | 2500 | 投/打 | 右/右 |
身長/体重 | 182/82 | プロ年数 | 6 |
(通算・今季)成績 | |||
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トライアウト結果 | |||
最速は130キロ |
15年には20歳という若さで10勝を挙げた右腕。
その後、左膝の怪我などもあって伸び悩み、今季は右肩痛もあったようで二軍で4/28に登板したのを最後に実践から遠ざかっていた。
トライアウトでは、わずか7球で三者凡退に抑えるなど打たせて取る持ち味を発揮。
やはり、総合力という点ではかなり高いものを持っている。
不安は最速130キロという球速だろう。
元々球速が出るタイプではないが、17年には140キロ程度の速球は投げていた。
戦力外通告を受けた際、23歳という実績持ちの中では早すぎる見切りに素行面が……なんて声も多くあったが、現状を見る限り肩痛の影響が大きかったのでは無いかと感じる。
肩の怪我からの復活は、容易でない事を過去の選手達が示している。
だが、23歳という若さを考えれば可能性が無きにしもと考えることもできるだろう。
育成契約で一先ず様子見という形の契約はありそうだ。
(11/23) BC・栃木入り
山本 雅士(ヤマモト マサシ)
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(元)所属 | 中日(育成) | 年齢 | 24(1994/11/03) |
今季年俸 | 450 | 投/打 | 右/左 |
身長/体重 | 173/80 | プロ年数 | 4 |
(通算・今季)成績 | |||
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トライアウト結果 | |||
最速は148キロ |
16年10月に右肘疲労骨折で手術し、翌年から育成契約となった右腕。
今年8月中盤にようやくブルペン入りする様子が伝えられたが、結局実践の機会は無く戦力外通告を受けた。
トライアウトでは圧巻の三者連続三振。
15年一軍公式戦での最高球速が146キロであるから完全復活どころか成長を見せつけた形になった。
17-18の二年間での実績が全くの0であるから、投げられるかどうかと伸びしろ含めた能力を見て判断するしか無いが、これだけアピールできればどこかしら獲得を検討してもおかしくないだろう。
恐らく今回のトライアウトで最も評価を上げた選手の一人。
(11/23)巨人の入団テスト受けるも不合格。
ジョシュ・コラレス(Josh Corrales)
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(元)所属 | 楽天 | 年齢 | 28(1990/05/25) |
今季年俸 | 600 | 投/打 | 右/右 |
身長/体重 | 188/102 | プロ年数 | 2 |
(通算・今季)成績 | |||
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トライアウト結果 | |||
最速は150キロ |
日本の社会人、独立リーグを経由してNPB入りを果たした異色の右腕。
最速153キロを誇る剛腕も17年の初先発で3イニング被安打5、与四死球7、自責点5という散々な結果で、その後の一軍登板は無かった。
トライアウトでは3者連続空振り三振と圧巻の投球。
制球面が不安視されていたのだが、今季二軍では23(2/3)イニング、四球12、死球0とそれなりに改善されているようだ。
しかし、月平均3イニング程度の登板数の少なさが気になる。
怪我という話でも無いようで何か問題を抱えているのだろうか?
外国人枠が必要なことと、登板の少なさを考えると獲得は難しいが、トライアウトでの結果を見れば興味を持つ球団が出てきてもおかしくないだろう。
山下 亜文(ヤマシタ アモン)
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(元)所属 | SB(育成) | 年齢 | 22(1996/04/05) |
今季年俸 | 270 | 投/打 | 左/左 |
身長/体重 | 171/76 | プロ年数 | 4 |
(通算・今季)成績 | |||
通算:一軍登板無し 今季:(三軍) 12登板 17イニング 与四死球10 奪三振17 防御率 3.75 | |||
トライアウト結果 | |||
最速は147キロ |
空振りのとれる直球が魅力の育成サウスポー。
課題の制球力に改善が見られず、今季戦力外通告を受けた。
トライアウトでは被安打0の2奪三振と持ち味を存分に発揮。
直球の質の高さは魅力的だ。
22と若く、持っている物は一級品。そして貴重なサウスポー。
不安はやはり制球力。3軍で多少改善を見せているが、暴投や被安打も目立ち、支配下は厳しい。
トライアウトで示した潜在能力の高さを買って、修正に自信のある球団が育成で手を挙げる事に期待したい。
(11/23) 巨人と育成契約【スポーツ報知】
まとめ
2018年のトライアウト参加者の中で気になる選手を挙げてみたが、テストの形式もあってリリーフ的な素養の高い選手が目立った。(個人的な趣味とトライアウト参加投手の中で最も実績のある成瀬善久投手も紹介したが、あまり芳しくない結果に終わっている)
特にリャオ・レンレイ、ジョシュ・コラレス、山下亜文の三名については、多少ゾーンを広めに意識せざるを得ない打者事情もあって課題の制球面についての評価は難しい。
ただ、持っている球、潜在能力に見るべきものがあるのは確かだろう。
二年間登板の無かった山本雅士もそうだが、育成契約を含めたオファーに期待したい。
即戦力として支配下契約に期待できるのは、やはり実績持ちの選手からになる。
今回挙げた中では、若松駿太と須田幸太の二人。ただ、どちらも時期的な影響か球速に不安材料を見せた。
オファーがあるとしても細かなメディカルチェックなど状態の把握からになりそうだ。
実際、毎年の合格(契約)人数が1割にも満たいないことを考えると、今回挙げた選手全員にオファーがあるということも無いだろう。が、挙げていない選手含め、願わくば一人でも多くの選手に新しいチャンスが訪れて欲しいものである。
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