春先の「この時期は投手が有利」って本当ですか?【前編】

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オープン戦やシーズン開幕後しばらくは、解説者やSNSから頻繁に聞く「この時期は打者有利ですから~」という言葉。

これって本当なんでしょうか?

いや、一般人の発言であればそんな細かいことどうでもいいんです。ですが、仮にも喋りを仕事とする解説者が右へ倣えで使うのは多少違和感があるんですよ。

なんというか、解説者が雰囲気を出すために使うテクニック的な言葉になってると言いますか、自分の言葉が出てこないだけじゃないの?なんて……

ありますよね?とりあえず付けときゃそれっぽい便利な言葉って

そんなわけで今回は「春先の打者有利」説について考えていきたいと思います

少し長くなったので、概要をザッと説明する前編と簡単なデータを使って検証する後編の二本立てです。

春先の「打者有利」説その理由

この時期は打者有利」その根拠は様々で、一先ず代表的な物を以下にまとめてみました。

  1. 調整の順番によるもの(投手が仕上がってからでなければ打者はそこに合わせることができない)
  2. オフのトレーニングにより打者はスイングが鈍くなる
  3. 春先の寒さによるもの
  4. ノーヒットノーランの記録は春に多い?

【理由1】調整の順番

最も代表的な根拠となっている説。

打者が目を慣らす為には、まず投手がその球を投げることが出来るようにならなければ不可能。

つまり、投手が仕上がってから打者が仕上がるという順番は極めて自然な流れであり、春先は投手有利となる。

【理由2】 オフのトレーニングからの切り替え

脳科学的な話。

野球そのものの練習ではなく、筋トレやランニングといったトレーニングが続くオフの練習で脳のスイッチが切り替わる(らしい)。

投手の場合、投球のすべての動作が個人で完結するためその切替もさほど時間はかからない。

一方、打者の場合、その切替や細かい修正に投手の投げる球が必要となり投手よりも時間が必要となる。

つまり言っていることは1の説とほぼ同様。多少むずかしい話に言い換えているだけとも言える。

【理由3】 春先の寒さ

気温が低いと筋肉は収縮し硬くなり、身体の動きは鈍くなる。

となれば投手も野手も無い様な気もするが、野手は試合中の運動量そのものが断続的で身体が温まりにくく、投手は投球中に身体が温まりやすい

まだまだ寒い日の多い春先においては、その差が投手有利という形で表れる。

【理由4】ノーヒットノーランの記録は春に多い?

これは完全な誤り

以下にNPB・MLBでの1990年以降ノーヒットノーラン達成月をまとめた。

NPBMLB
4月312
5月616
6月417
7月213
8月38
9月314
10月22

確かに5月に多い様な傾向はあるが……6月も多く4月は少ない。これを春先は投手有利という根拠にするのは難しい。

打者有利説への疑問

どれも一理あるようで、無いような……

多くの根拠があることで、逆に上手く言いくるめられているような……気持ち悪い常識に思えてしまうのは私がひねくれているのでしょうか。

【理由4】は論外としても、1~3はそれなりに納得できる理由であるのは確かです。

しかし、トレーニング器具や施設の発達に暖かい海外での自主トレといった様々な選択肢がある現代で、それ程差がでてくるのだろうかと考えてしまうと疑問符が付きます。

開幕戦から161キロとか出していたどこぞのお化け投手は別ですよ。あんなん出されたら、打者はまだまだどうにもならんのも道理。あれは例外、一般的な投手はいくらかセーブした投球を見せるでしょう。

むしろ故障を恐れて多少セーブして投げる春先であれば打者有利では?という気さえします

何より昨今のオープン戦や開幕直後では、乱打戦がそう珍しく無いイメージも有るのですが、時偶貧打戦もとい投手戦となるとすかさず「この時期は投手有利ですからね」と挟んでくる解説者に違和感を覚えてしまうのです。

得点比較

疑問を解消するため、何を見ていこうかと考えたのですが、まずはざっくり得点に注目していきます。

各球団のローテが一巡する開幕6試合(6試合×12球団=72試合)と年間の一試合平均得点を比較した物が以下。

シーズン年平均開幕平均差(%)
20184.323.83▼11.2%
20174.004.21△5.3%
20164.014.31△7.5%

とりあえず近々の3年間を比較しました。

16-17年は大味なゲームが多かったようですが、18年は一転してロースコアゲームが増えたようです。

年数を広げた詳細な比較は後編でやるので今回はさわりだけとなりますが、少なくともハッキリと投手有利の傾向が見えるということはありませんでした。

前編まとめ

得点だけ、しかも開幕たった6試合の結果と比較するのは、色々無視しすぎだろうとそんな風に思った方もいるでしょう。

私もそう思います。

ですが、一番わかりやすい指標でもありますし、それなりの傾向は掴めるかな……と。

少なくとも投手有利と言えるほどの有意な物は今のところ見えませんね。

後編ではもう少し遡り、ついでに安打数や本塁打数も比較したデータを見ながら春先の投手有利説について考えていきたいと思います。

春先の「この時期は投手が有利」って本当ですか?【後編】
「この時期は投手有利~」説は本当か否かというテーマの後編です。 前編は↓↓ 概要は前回のブログを読んでいただくとして、今回は過去のデータを使って考察していきます。 それでは続きをどうぞ

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