最近どうにも審判界隈というか、リクエスト関連の話題でざわざわと……
よそ見してて見てませんでした……、ビヤヌエバその広げた手はどうなのさ!?あれ?そういや今年コリジョンどうなった?なんて話があったと思ったら
今度は緒方監督がブチギレで退場騒ぎなど、始まって1ヶ月ちょいでありながら色々ありました。
誤審どうこうという話題に関しては、キリが無いのでそれ程興味も無いのですが、制度的な部分でどうなの?って所はまた別の話。
ということで2019年のリクエスト制度の確認と今後の課題について考えてみたいと思います。
※今回は「前・中・後」と分け、それぞれ以下の様な形でお送りします。
- 【前】リクエスト制度の概要【2019年版】(当記事)
- 【中】リクエスト事件簿1【よそ見】
- 【後】リクエスト事件簿2【併殺崩し】
- 【番外編】リクエスト制度のハードルを上げすぎてしまった件
【2019年】リクエスト制度概要
「リクエスト制度」は、昨年(2018年)から日本プロ野球(NPB)で導入された制度です。
これにより審判の判定に異議がある場合、ビデオ映像によるリプレー検証を求めることのできるようになりました。
ベースとなったのは、メジャーリーグ(MLB)で2014年から導入されている「チャレンジ制度」。
それを資金力に乏しいNPBがなんとか取り繕って形にした制度と言えます(これについては後述)。
また、詳しい取り決めについては、セ・パ各リーグの定める「アグリーメント(申し合わせ事項)」に記載されていて、私達のような一般人では確認することができません。
どうやら球団関係者と記者クラブ加盟のマスコミに配布されているらしいのですが、一般非公開とされている理由は謎です。
無料で配布・公開しろとまでは言いませんが、手に入れる方法があっても良いような気もするのですが……
ともかく、そんなわけでここから先は各マスコミによる報道や関係者の話をまとめた物になります。
《基本ルール》
- 対象は地方試合を含む公式戦全試合(本拠地開催のオープン戦を含む)
- リプレイ検証に用いる映像は、当該試合のテレビ中継映像とする
- リプレイ映像の検証時間は「5分以内」とし、確証のある映像がない場合は審判団の判断とする
- リクエスト権利は1試合「2回」(延長戦ではリセットされ新たに1回の権利が発生)
- 判定が覆った場合、リクエスト権利は減らない
- リクエストを行使する場合、判定後、監督は速やかにベンチ前に立ち、球審に向けて、モニターを意味する「四角」を手で形どることがリクエストを行使するサインとする。
《適用外となるプレー》
- 投球判定(ストライク・ボール)
- ハーフスウィング(チェックスウィング)
- 自打球
- 走塁妨害
- 守備妨害
- インフィールドフライ
- 審判員(塁審)より前方の打球
- ボーク(反則投球)
※コリジョンや併殺崩しの危険なスライディングについては検証対象(2019年から)
《注意事項》
- リクエスト行使の場合は、監督は速やかに球審にサインを伝達する。
- 監督以外の者にはリクエストの権利はない。
- ベンチ内のコーチ、スタッフまたは外部の者が、何らかの方法でリプレイ映像を確認し、監督にリクエスト行使を催促する行為は認めない。
- 上記(3)の行為が確認された場合は、リクエストには応じず、監督は試合から除かれる。
- リプレイ検証によって出た全ての決定に対して異議を唱えることは許されない。異議を唱えた場合、監督は試合から除かれる。
- リプレイ検証中の球場ビジョンには、審判団がリプレイ検証で確認している映像と同じ映像を放映することが出来る。
- リプレイ検証後の審判員の場内放送は、ルール上の説明および責任審判員が必要と判断した場合のみ行う。
2019年リクエスト制度の変更点
上記は導入時にスポニチが報じたリクエストルールの概要をベースに、2019年の変更点を踏まえまとめた物です。
しかし、それだけでは説明に不足がありそうなので19年からの具体的な変更点を以下に
まず、新たにリプレー検証の対象が増えています(3つ)。
- 本塁での衝突(コリジョンルール)プレー、併殺崩しの危険なスライディングかどうか(18年はアウト、セーフの判定だけがリクエスト対象だった)
- 危険球、頭部に投球が当たったかどうか
- フェンス際の打球(本塁打以外)ファール、フェアを含め、フェンス直撃の前に捕球したかどうかなど微妙な打球(※本塁打判定については18年もリクエスト対象)
また、これに伴い審判自らがリプレー検証できた対象プレーから以下のプレーが削除されました。
- コリジョンルールの適用
- 危険なスライディング
- 本塁打以外のフェンス際の打球
つまり、今年から審判の判断でリプレー検証できるプレーは本塁打判定のみとなったようです。
監督権限でのリクエストと審判権限でできる検証が被らないようにということでしょうが、本塁打だけはリクエスト+審判判断での検証がどちらも可能となっており少々ややこしいですね。
また、その他に
- 判定した審判員は検証に加わらず、映像を確認する部屋にも入らないこと。
- 検証後の判定に抗議した場合、監督に限らず抗議した選手も退場処分を受ける。
という二点が追加されています。
リクエスト制度概要まとめ
概要でも少し触れましたが、NPBの「リクエスト制度」はMLBの「チャレンジ制度」に比べ、かなり穴の多い制度となっています。
なぜ穴が多いかと言えば、単純にお金が足りないから
それはもう導入時にハッキリとリプレー検証検討委員会の江幡委員長(ヤクルト)が仰っています。
日本ではMLB(大リーグ)のようにリプレー検証用にカメラを特別に設置したり、審判とは別のスタッフが別の場所で検証するということはない。カメラ設置にMLBでは30数億円かけているという話もありますが、NPBでは難しい。日本では審判員の負担も増え、チャレンジという審判に対する表現より、審判とチームが協力し合って正しい判定を求めていくという意味を込め、依頼するという表現、いわゆる“リクエスト”という柔らかいものにしました【デイリー記事より抜粋】
一言にギュッとするなら「資金不足で別物。だから挑戦的な名前も避けている」とそんなとこでしょう。
そこを踏まえて考えると、前進はしているのかな?という気はします。
昨年問題になったいくつかのケースを鑑みて、今季から対象プレーを増やし、判定に関わった審判は加わらないことにした。それに伴い、審判の自主的なリプレー検証の権限を取っ払ったのも18年6月22日のオリックス対ソフトバンク戦で起こった混乱を考えれば妥当ではないでしょうか?
去年なんかあったっけ?という方は以下を

と言っても直接の原因となったホームラン判定については残さざるを得ないとの判断だったようですが……
また、今年は確信の持てる映像が無かった場合は最初の判断でという部分の意思統一がなされているようにも感じます。(これについては、ちょっと面倒なので中編か後編で)
しかし、リクエストを審判が勧める事によって起きる混乱が今年も繰り返されたり、球団と審判団の意思疎通が上手くいかない、ファンへの制度説明はほぼ無いなどといった実行可能であろうアップデートが十分に行われていない部分が多々あることも確かです。
まずはアグリーメントを公開しませんか……?なんてずっと思っているのですが期待薄ですかね?
さて、今回はザーッとですがリクエスト制度の概要についてまとめてみました。なんとなくでも伝わったでしょうか?もし間違っている部分や疑問に感じた部分等ございましたら、お気軽にコメントやTwitterなどでお知らせ頂ければ幸いです。
次回の中編では、今季起きたリクエスト絡みの混乱についてご紹介していきます。
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