【2019】リクエスト事件簿その1【中日-ヤクルト よそ見】

スポンサーリンク
スポンサーリンク

ちょっと時間が空いてしまいましたが、リクエスト制度の行方/中編2019リクエスト事件簿】です。

前編ではリクエスト制度の概要をササッとまとめましたので、中編からは今季実際に起こったリクエストでの事件例を取り上げていきます。

【よそ見】事件概要

  • 日時:4月21日(日)
  • 対戦カード:中日-ヤクルト(6回戦)
  • 球場:ナゴヤドーム
  • イニング:5回表(一死二塁)

実際の映像とテキスト概要

  • 5回表、一死二塁ヤクルトの攻撃
  • 上田が放った飛球はセカンド後方へ
  • 中日、堂上が捕球し、すかさず二塁へ
  • 飛び出していたランナー雄平は戻れず
  • しかし、ワンテンポ遅れて審判の判定はセーフ
  • 中継映像には審判が一塁方向を向いていた(よそ見)映像が……
  • 遊撃の京田は「見てなかったでしょ!?」とばかりに抗議
  • 与田監督も出てきて猛抗議
  • 責任審判「我々としてはジャッジを出している。意義があるなら、リクエストして下さい
  • 中日側のリクエストで判定覆りアウト
  • ヤクルト側から「抗議後のリクエストは認められないはず」と軽いクレームも入る。
  • 試合後、中日は意見書を提出。

意見書の内容と返答

中日は塁審がプレーをみずに判定したのではないかとNPBに意見書を提出し、当該プレーの確認が遅れたという旨の回答を得ました。

しかし、試合後に塁審が報道陣に対し「プレーを見ていた」と語っていたこともあり、確認事項と共に再度送付。

その確認事項は以下の二点。

  1. リクエストを使い切った状況で、誤審のようなケースが出た場合の対応
  2. 速やかにプレーの確認をしたことが抗議にあたるのか

そしてこれに対する返答は

  1. (1)については「今後検討する」
  2. (2)は「確認と抗議は判断しづらいので、早急にリクエストを申請してほしい」

また、塁審の件に対しても「真摯な説明もあった」とのことで、一連の騒動は終結しています。

今回のポイント

それでは、今回のポイントを整理します。

ポイントは以下の三点!

  1. プレーを見逃したままジャッジを下してしまった
  2. その際の対応は何が適切だったのか
  3. 抗議への対応はどうするべきか

【1】プレー見逃しジャッジ

非常に厳しい声が多く、論外と言えば論外。

しかし、見落としそのものについては、どうしても起きてしまうケースはもあるようです。

今回で言えば、フライ捕球の判定は一塁塁審が行い、二塁塁審はタッチアップ判定の為にフライが野手のグラブに当たるのを確認し、二塁走者をチェック、そして捕球判定を行う一塁塁審に代わり落球などがあったケースに備えて打者走者の確認に一塁方向をチェック。

本来であればその途中に一塁塁審からフライアウトのコールなどが有り、またそれぞれ動き……

と、そんな流れがあるらしく、連携がうまくいかずミスが有ったのは確かでしょうが、怠慢という程かと言えば微妙なところでしょう。

まぁ、その後そのままジャッジを下し、それを押し通してしまったのは「やらかし」ではあったと思います。

【2】見逃した場合の適切な対応は

【1】でも述べたように、プレーの見逃しは起こりえます。極力防ぐ様に皆努めてはいるのでしょうが、人の行う事に完璧は有りません。

では、その場合どうするべきなのでしょうか?

プレー後に何のコールもせず試合を止めるわけにも行きませんから、一度何かしらのコールは必要です。ですからセーフコールまではやむを得なかった言えます。

問題は、それを通してしまった事でしょうか?

コールの後、もしくは抗議の後、他の審判に意見を求め協議していればもう少しスムーズに事が運んだかもしれません。

ルールブックで言えば「8.02 審判員の裁定」に定められている部分です。

(c) 審判員が、その裁定に対してアピールを受けた場合は、最終の裁定を下すにあたって、他の審判員の意見を求めることはできる。裁定を下した審判員から相談を受けた場合を除いて、審判員は、他の審判員の裁定に対して、批評を加えたり、変更を求めたり、異議を唱えたりすることは許されない。

【引用:Baseball Rules

つまり、ジャッジを下した二塁塁審の求めがあれば、ある程度は修正の余地はあるのです。

といっても、この時多くの人が言っていた「審判権限で映像を確認すればいい」と言うのは厳しいかもしれません。

前編のリクエスト制度概要で書いたように、審判権限のリプレー検証は特定のケース以外で認められていません。

となると、誰かが確実に見ていなければ覆しようは無く、ジャッジを下した二塁塁審の目の前のプレーである事を考えると他の審判に聞くといっても……

協議で覆せるほどの確証を誰も持っていなかった場合を考えれば、審判員としても正直な所とにかくリクエストしてくれ……というのが本音ではありそうです。

ですから、今回のケースでどういった対応が最も合理的かつ最善であったかと言えば、中日側からサクッとリクエストを出す事でしょう。

いや、気持ちの面とか考えるとどうなの?って話ではありますが……

また、それだと意見書にあった「リクエストを使い切った状況で、誤審のようなケースが出た場合の対応」に上手い対応が無いというのも今後の課題と言えそうです。

【3】抗議対応はどうするべきか

あまり問題視されていませんでしたが、この事件で最も厄介なポイントとなったのは抗議対応です。

この辺りの事について、高木豊氏がYouTubeにて説明していましたので載せておきます。

簡単にまとめれば、抗議後のリクエストはルール上受け付けられないから、とにかく何かあったらリクエストしてくれと審判も言ってた……

まぁそういうことですね。

ヤクルト側が軽いクレーム(確認の意味合いが強かったハズ)を入れた部分でもあります。

そもそもリクエスト導入前は、どれだけハッキリとした誤審であってたとしても、それが抗議で覆ったというケースはほぼありません。

稀にノーバウンドもしくはワンバウンド判定の際、ジャッジを下す審判から死角になっていたケースなどでは協議の後、覆る事もありましたが、単純なアウト・セーフの判断が覆ることはありませんでした。

これは審判の威厳どうのというよりも、一度下した判定を覆す根拠が乏しく、試合進行に支障を来すのが明白であるからでしょう。

もしかしたら~だったかもしれない。確証は無いが審判のミスが無ければ~だっただろう。と、一度出した判定を変えてしまっては今度は相手側からクレームが付きキリがありません。

その点、リプレー検証は、やっちまったなぁと感じた審判にとって覆す根拠を得ることのできる一種の救い、蜘蛛の糸でもあります。

しかし、その蜘蛛の糸も抗議が発生した途端に断たれてしまう細い糸です。それが、与田監督の抗議へ責任審判が「意義があるならリクエストを」といった一因でもあり、意見書への回答「確認と抗議は判断しづらいので、早急にリクエストを申請してほしい」となるのでしょう。

端的に言えば、抗議は現状ほぼ役に立たないからヤメてくれと……いやまぁその姿勢がこの問題を生んだ部分もあり、次次回に紹介する事件の原因でもあるのですが、9割くらいは確かな部分もありそうです。

《よそ見》事件まとめ

さて、それでは最後に簡単なまとめです。

言葉を選ばず書いてしまうのであれば「リクエスト対象を拡大したんだから、できる部分は全部リクエストで対処してくれ!話はそれからだ」という審判の本音が透けて見えた一件でした。

特に今年から対象を拡大したことで、ほぼ審判権限でのリプレー検証(自首検証)がなくなっているというのが大きな要因となっていそうです。(詳しくは前編を)

前回も触れましたが、自首検証が混乱を生んでいた面も有りますから、バランスを考えればそれを無くしたのは妥当な判断でしょう。

一方で「もし、リクエストを使い切ってたらどうする?」という様な問題も見えました。結局の所、まだまだ欠陥の多い制度なわけです。

現状は各球団と審判団で歩調を合わせながら、出来る範囲でアップデートし、シーズン中に集まった課題・問題点をシーズンオフに制度の改正や追加によってより良いものを目指していく。ファンもある程度そういった部分に理解を示しながら、折り合いを付けることも必要なのではないかと感じます。

まぁその割には、しっかりとしたルールの広報もなく、ファンが置き去りにされているのは如何なものかとも思いますが……。

コメント