虎のエース・藤浪は今季もダメか?データから読み解く藤浪復活の条件

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藤浪晋太郎が「虎のエース」と呼ばれていたのが、随分と昔のことのように思える。

復活を目指して迎えた開幕二戦目の対巨人戦では六回に突如崩れた。それでも、と送り出された昨夜二度目のマウンド、結果は初回から暴投をかまし、五回途中押し出しの四球を与えた所で無念の降板……。

これまでも同じ様な内容を繰り返している藤浪に対して、ショック療法とでも言うべき起用は、首脳陣の焦りを感じざるを得ないが、そこの賛否に関しては別の機会に。
今回は、藤浪に何が起こったのか、そして復活に何が必要なのかを各種データを参考に掘り下げていく。

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藤浪晋太郎の基礎情報

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201324230010600563137.2119104421268048422.751.18
201425252011800704163150664111726079643.531.31
201528287414700840199162982112219070532.41.23
201626262171100734169152117081766178613.251.31
2017111100350027159535458415030274.121.66

藤浪晋太郎 1994年生まれ (23歳)
右投げ右打ち プロ6年目

最速160キロを誇る速球とカットボールが武器のパワーピッチャー。

通算HR/9(9回辺りの被本塁打数)が0.50、とにかくホームランを打たれない投手で素材は一級品。

ルーキーイヤーの2013からローテーションの一角を勤め、順調に勝ち星を重ねる。しかし、昨年は制球難に苦しみ、わずか3勝に終わった。

 

データから読み解く藤浪の状況

2013~2016までは順調にキャリアを積み上げていた藤浪だが、昨季は派手に躓いた。

元来、四死球の多い投手ではあったが、ある時から死球をきっかけにそれまで以上に制球を乱し、ゲームを壊してしまうほどの極端な登板が目につく様になったのだ。

その別人のような変わりように、イップスなどメンタル面の問題とあちこちで囁かれる藤浪だが、データを追っていくうち、それは結果であって過程ではないと言う結論に至った。つまり、メンタル面に傷を負ったわけではなく、メンタルを乱されるような状態に追い込まれる根本的な原因があると考えたのだ。

と言葉で言っても説得力は無いためデータを見ながら書いていく。

 

【BB%とBB/9】から見る制球力

BB%BB/9
20138%2.89
20149%3.53
201510%3.71
201610%3.73
201717%6.86

これは藤浪のBB%とBB/9と呼ばれる数値を年度別に表にした物だ。
BB%は一人の打者に対しての四球確率で、BB/9は9回あたりに出した四球の平均値である。

表からわかるように、2016までの藤浪は大体10人に1人の割合で四球を出し、9回あたり3~4個の四球を与えていた。
ちなみに2017年のNPB全体でのBB%は8.2%、BB/9は3.13であるから藤浪は平均より少し悪いということになるだろう。

そして2017は、そのBB%が1.7倍に増加し、BB/9は見るも無残な数字となった。
これでは確かに制球難に陥ったと言われても不思議ではない。ちなみに今年の2試合は、BB%17.4%、BB/9は7.4と更に悪化している。

では次に以下の表を見て欲しい。

 

ストライク・ボール割合

 総球数SBBBSB%
201629481222172641%
2017109347162243%
2018186959151%

※SB=ストライク BB=ボール SB%=総球数におけるストライク割合(4月7日時点)

これは藤浪の投じたボールのストライク・ボールの数とその比率を単純に表にした物だ。
制球難で四球が増えた……にもかかわらず投げているボールの割合はストライクが増えているのだ。

突然崩れるのだから、その影響は数字には現れていないのかもしれないが、それでもストライク割合が増えているのは不自然だ。
悪くなって即降板していたわけでもなく、それなりに我慢して傷口を広げた事も多い。

そこで次のデータに行こう。

 

奪三振関連の数値に変化があった

 K%K/9K/BB
201322%8.272.86
201424%9.502.69
201526%9.992.70
201624%9.372.51
201715%6.250.91

 

これは先程の四球関連のデータ(BB%とBB/9)と同様の物で、三振バージョンである。

K%が打者一人に対しての奪三振率で、K/9は9回あたりの奪三振数である。
K/BBは奪三振数を四球で割った指標で、高いほど能力の高い投手を示す。
2017のNPB全体ではK%が19%、K/9は7.44、K/BBは2.37となっている。

2016までの藤浪は、全ての数値が平均を上回る優秀な投手であった。
それが2017には大きく下回ったのだ。

一般的にK/BBは制球力の高い投手を示すとも言われているのだが、先に示したBB%とBB/9で藤浪はリーグ平均を下回っている。
藤浪は制球力が高いわけではなく、アバウトな制球力を高い奪三振能力で補っていたと言える

そして、藤浪の不振の根底には奪三振能力の低下があると考えられる。
勿論、奪三振能力も制球力の成せる業ではあるのだが、ちょっと言葉のみで説明するのは難しいので先に次のデータを……

球種別投球割合

上の円グラフは2016と2017の球種割合だ。

まず、全体的にストレートとカットボールの割合が高いのが見て取れる。
そして2016-2017で、その割合が更に1割近く増加している。

また、2016には、合わせて1割近く投げていたシュートとスライダーが半分程度に減り、決め球として使っていたフォークボールも6%から2%と大幅に減っている。

 

各球種別の被打率、空振率、見逃率

 ストレート
 被打率空振率見逃率
20160.2457.33%19.01%
20170.2423.82%20.83%
20180.3334.32%15.11%

 

 カットボール
 被打率空振率見逃率
20160.23615.34%19.26%
20170.23911.46%15.10%
20180.33317.24%13.79%

 

 スライダー
 被打率空振率見逃率
20160.3339.62%18.27%
20170.58.33%20.83%
2018 –

 

 フォーク
 被打率空振率見逃率
20160.13823.16%0.53%
201704.76%0.00%
20180.33325.00%0.00%

こちらは球種別の被打率などをまとめた物だ。

2016-2017で主体となるストレートとカットボールの被打率に変化はないが、どちらも空振率(空振り)が落ち込んでいる。
単純に球質が落ちたのであれば、被打率も上がる。
打者側がなんらかの対策(弾き返せないものの狙い玉を絞る、カットするなど)をしてきたと考えるのが自然だ。

次いでスライダーとフォークに移りたい。
ちなみにシュートも載せようかと思ったのだが、スライダーと大差ない上に2016にはほぼ投げていなかったので省いている。

そのスライダーであるが、お世辞にも通用していたとは言い難い。オプションの一つとして騙し騙し使っていた感じは否めない。
そういう事もあって段々とカットボール頼りの投球となっていったのであろう。

一方でフォークボールの方はというと、2016は素晴らしい数字を残している。
実際、藤浪のフォークと言えば140キロを超える速度でストライクからボールになる反則のような球である。

が、2017では数字が悪い以前に約1000球と総投球数自体が少ない中での2%、20球程度しか投げていない。
これは昨年のシーズン終了後のスポニチの取材でフォークを投げるカウントを整えることができなかったからだと藤浪自信が語っていた。

そして次のデータ

ボールゾーンのスイング率

 ボールゾーンスイング率
201629.50%
201721.70%
201813.20%

 

これは対戦打者がボールゾーンの球をどれだけスイングしたかを表している。(空振もコンタクトも合わせての数字)
ストライクゾーンのスイング率に大きな変化は無かったので省いたが、2016-2017でボールゾーンを見逃される確率が格段に上がった。

ここで最初のストライク・ボールの謎が解ける。

ストライクとボールを投げる割合はさして変わっていなくとも、打者が手を出す有効なボール球が減ったために四球が増えたのだ。

 

データから読み取る藤浪変化の真相

さてここまで各種データを並べてどう結論付けるべきだろう。

藤浪がここまで苦しむその背景には奪三振能力の低下がある。
そしてその奪三振能力の低下の裏にはボールゾーンのスイング率低下がある。

ではなぜそうなったのか?

制球力の低下で際どいコースへの投球ができなくなった?
いやいや藤浪は元々そこまでの制球力を持ち合わせていない。ボール・ストライクがはっきりしているのは元からだ。
ボールの威力で稼ぐ凡打と、カウントが有利になった時に使うフォークで成り立っていたのである。

 

藤浪が変化したわけではない。周囲が藤浪を攻略したのだ

私は、藤浪自身に何か大きな問題が起きて、苦しんでいるわけではないと結論づけた。

結局の所、ストレート・カット偏重の投球が通用しないのだ。

巨人・上原のように二種のボールだけで勝負するような投手もいるにはいるが、あれは短いイニングの話であるし、抜群の制球力があってこその話だ。
長いイニングを投げ、細かい制球力も持たない藤浪では同じ様にはいかない。

数字では通用していたとは言えないスライダーやシュートではあるのだが、実はそのささやかなオプションが、藤浪の制球力をカバーしていた。
2017には完全に通用しなくなってしまったいくつかの球種は、それまでは被打率は高くとも高いなりに打者に迷いを生ませカウントを整える球として機能していたのだ。

そこを潰されたことで有効なフォークですら封じられて、今の藤浪は回を追うごとに投げる球が無くなる。
追い詰められた結果、制球を乱し5回6回辺りで自滅を招いているのだろう。
突然制球を乱すようになったわけではなく、これまでは追い詰められることは無かったというだけの話ではないだろうか?

つまり、メンタル面などの問題以前に、その投球スタイルが通用しなくなったことが根本にある。

言葉を選ばずに言うのであれば「化けの皮が剥がれた」とそういうことだ。

化けの皮に潜む、本物の化物

さて、先程の「化けの皮」発言で多くの藤浪ファン、阪神ファンを敵に回したことだろう。

だが、ちょっとまって欲しい。貶しているわけではない。

先日、解説の桑田が「メンタルだとかそういう話ではなく、技術の問題だ」と言っていた。
これは裏を返せば4年間技術を持たずやってきたということになる。

通常であれば必要になる技術のいくつかを持たないままに、プロの打者相手に好成績を残していたのだ。
それは、紛うことなき本物の化物である。

であれば、技術をカバーするために被っていた化けの皮など大した問題ではない。
藤浪を化物としている本質、そのストレートとカットボールそれ自体は変わっていないのだから十分に復活可能なはずである。

藤浪復活に必要なものとは!?

以前の藤浪に戻そう、戻ろうと考えるのは間違いだ。

藤浪の能力が落ちたわけではなく、周りがようやく藤浪に対応したのである

勿論、危険球で騒がれたり、周りの雑音でナーバスになっている部分もあるのだろう。
だが、メンタルの部分は結果だと考えれば、同様に良い結果が出れば改善する。

問題はいい結果を出すには、何が必要かということである。

つまり、必要なのは「復活」ではなく「進化」ということだ。

進化の可能性

王道!本物の技術を身につける

王道を進むのであればコレだろう。

小手先の技術が通用しなくなったのであれば、新たな技術を身につければ良いのだ。

確実な制球力を磨くでも、使える変化球を磨くでもなんでもいいだろう。
要は狭まった投球の幅を再度広げてやればいい。

ただし、コレまでのような平均以下の技術では一時凌ぎにしかならないであろうから、本物を身につける必要がある。

元々ストレートの威力は抜群で、反則のようなフォークも持っている。
後一つ、技術というピースが揃えば、阪神のエースどころか球界のエースにもなれる器だろう。

短いイニングへの特化!リリーフ転向

外道も外道。つまりはリリーフへの転向だ。

多くのファンは望んでいないだろう。
リリーバーが悪いわけではなく、この選択は根本原因から目をそらすからである。

散々だった昨年でさえも、ストレートとカットの被打率は変わっていない。
つまり、当てることは出来ても弾き返すことは満足に出来ていないのだ。

イニングを重ね、ボールの威力が落ち、打者の目が慣れて来た時に二の矢が無い。
なるべく武器を残すため、前半はストレート一本で押す。
今の藤浪はそんな状態だ。

ポジティブにとれば、短いイニングならば今の能力だけでも十分結果を出せる
不安視されるメンタルについても、先程も書いたように結果が付いてくれば自然と改善されるはずだ。

 

そうは言っても、個人的にはやはり虎のエースになってもらいたい選手である。出来ることなら制球力、技術を身に着け球界のエースとなって欲しいと思っている。

非常に長くなってしまったが、今回はこんなところで終わりたいと思う。

 

☆参考サイト☆

・スポナビ https://sports.yahoo.co.jp/

・データで楽しむプロ野球 http://baseballdata.jp/

※ 載せているデータは参考サイトのデータから計算し、編集した物が多くあります。正確性を保証することは出来ませんのでご了承下さい。

 

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