巨人の連敗がようやく止まった。
投壊と言われ……采配が悪いと言われ……今年はもう育成でもしたら?なんて言われ……昨年の13連敗に比べればマシとは言ってもやはり巨人ファンにとっては辛く長い連敗であった。
なぜこんなに連敗が続くのかと色々と数値を見比べてみたのだが、単純に投手陣が打たれすぎているという簡単な結論にたどり着く。
が、それだけでは面白くないので無理矢理にでも他の部分に注目をしてみた。
先制点と勝率
巨人・先制点と勝利の関係
試合数 | 勝利 | 先制 | 先制時勝利 |
13 | 5 | 2 | 2 |
先制割合 15% 非先制割合 85% 先制時勝利割合 100%(2戦2勝) 非先制時勝利割合 27%(11戦3勝)
先制時の勝率100%!やったね!なんて言ってられない。
先取率が低すぎる。まだたったの13試合だからある程度の偏りがあるのは当然だ。だが、それにしたって……いくらなんでもそりゃどうなの?と言いたくなるレベルだろう。
一般的に先制時の勝利割合は大体7割~7割5分程度あると言われている。
昨年で言えばソフトバンクホークスが、先制時73勝9敗で勝率.890、次点で巨人が50勝11敗1分で.820、最下位のヤクルトが28勝25敗1分で.528である。
昨年のヤクルトは、全体で45勝しか挙げていないことも含めて考えると先取点がどれだけ重要な物かわかるだろう。
とは言っても1点の先制では、勝利確率はさほど上がらず、せいぜい5割を少し上回る程度だとするデータなどもあるし、逆転の広島なんて例もある……ともあれ試合のイニシアチブを握るという意味で、先制点をとったのがたった2試合だけというのは問題だろう。
となると……打撃陣にも問題があると言えるのだろうか?
非先制時のイニング数
一回表 | 一回裏 | 二回表 | それ以降 |
3 | 4 | 2 | 2 |
これは、先取点をどのイニングでとられたのか、まとめたものだ。
その他の二回は、それぞれ5回表と6回表である。
一言で、初回にとられ過ぎだ。
一回表に取られてしまえば、打撃陣としてはお手上げである。裏にしたって厳しいだろう。
しかし、一回表にとられた3回のケースでは2回の逆転勝ちを収めている。
初回に点を数試合でも取れていれば、こんな事にはなっていなかったかもしれないというのもまた事実ではある。(大分苦しいが……)
さて、ではもう少し打撃陣の粗を探して投手陣に救いの手を差し伸べてみよう。
投ではなく打の原因を掘り下げる
セ・リーグ2018 4/13までの打撃成績
試合 | 得点 | 本塁打 | 打率 | |
---|---|---|---|---|
1.横浜 | 12 | 44 | 10 | 0.244 |
2.広島 | 13 | 59 | 11 | 0.254 |
2.ヤクルト | 13 | 66 | 9 | 0.273 |
4.阪神 | 12 | 38 | 8 | 0.222 |
5.中日 | 13 | 55 | 8 | 0.248 |
6.巨人 | 13 | 58 | 9 | 0.281 |
<年度別チーム平均得点>
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | |
---|---|---|---|---|
広島 | 3.54 | 4.78 | 5.15 | 4.54 |
横浜 | 3.55 | 4.00 | 4.17 | 3.67 |
読売 | 3.42 | 3.63 | 3.75 | 4.46 |
阪神 | 3.25 | 3.54 | 4.12 | 3.17 |
中日 | 3.31 | 3.50 | 3.41 | 4.23 |
ヤクルト | 4.01 | 4.15 | 3.31 | 5.08 |
リーグ平均 | 3.51 | 3.93 | 3.98 | 4.21 |
現在の成績を打撃関係だけ抜き出し、ここ数年の巨人と比較するため年度別の平均得点もつけてみた。
昨日、巨人は10得点、3HRだったため状況が大分変わってしまった。が、打率はそれほど変わっていない。表の得点から10点引いて見てみれば、中々にフラストレーションの溜まる成績だったのはわかるだろう。
4月12日までの打率はセ・リーグどころか12球団でトップにありながら、得点は中位、平均得点4点であった。
ここ数年の巨人は打率も低かったため、定位置ではあるのだが今年に限って言えば「その打率でそれ?もう少し上手いこと点がとれるだろ!」と、そういうことだ。
打率はリーグトップを走っていたのに、なぜそうなってしまったか
繋がりの悪い打線
こういったケースで良く持ち出されるのは得点圏打率ではあるのだが、個人単位で見れば多少の意味があってもチーム単位になれば運が悪かったとしか言いようがないだろう。それに昨日までの巨人のチーム得点圏打率は.250と打率に比べてかなり寂しいものの、来るべきチャンス数を考慮すればお釣りが来る程度にはあった。
それでも勝利に繋がる点が取れていなかったのだ。正直「運が悪かった」で片付けていいんじゃないだろうかと思うほどに、数字がバラバラなのである。
細かく見ていけば確かに原因はあるのだろうが、少なくともコレと言った物は見つからない。やたらとゲレーロが槍玉に上がるのだが、そもそも彼は得点圏どころか通常の打席においても四球率が2割近くあり、まともな勝負をしてもらえていない。
そんな中で結果を出しているカープの丸や阪神の糸井なんて選手もいるが……少なくともあいつが悪い!と槍玉に上がるほど足を引っ張っているかと言えばそうでもない。
打球角度がイマイチ上がってこないために、ソロホームランすらまだ打てていない彼であるが、併殺打を打つわけでも無く、三振も減って出塁率は4割と後の打者でなんとでもなりそうな数字である。
4番だろ!とは言ってもシーズンの中の十数試合の話であるから、他でカバーできるはずなのだ。何度も言うがチーム打率は高いのだ……。
さて、一つ面白いほどに噛み合っていない例を示そう。
ゲレーロ・マギーラインの機能不全
実回数 | 確率 | 理論値 | 理論値(数) | |
両者☓ | 13 | 31% | 42% | 17.45 |
両者○ | 3 | 7% | 12% | 5.14 |
ゲレ○ | 16 | 38% | 28% | 11.83 |
マギ○ | 10 | 24% | 18% | 7.58 |
総機会数:42
これはゲレーロとマギーが同じイニングに打席に立った機会数と両者の結果を表す表である。
☓は凡退、◯は何でも良いから出塁したケースである。理論値は出塁率から導き出した。
両者共に凡退するケースは理論値よりも少なく2人が続く場面であればどちらかが仕事をしているのだが、両者が揃って出塁することはほぼ無かった。
ゲレーロが出ればマギーが倒れ、ゲレーロが倒れればマギーが出る。一見リスク回避できそうなチームワークではあるが、点を取るには向いていない。
ちなみに両者が何かしらの形で続けて出塁した3回のイニング全てで巨人は得点を挙げている。
ゲレーロがマギーの後ろを打っていたのであれば、例の得点圏打率なるものが出てきてしまうのだろうが、後ろはマギーである。
どちらかと言えばチャンスに強いとされる打者なのだ。
ランナー一塁のケースが多かったと言っても、大抵の場合ランナー無しよりはそちらの方が打率は上がる。どちらにしたってこの結果はソレ以上に噛み合っていないのだ。
まとめ
有効では無かったにしろ散々データを出しておきながら、こんな結論になるのも心苦しいところではあるが……
結論としては
・投手陣が悪すぎた(特に先発陣が序盤に崩れるケースが多すぎた) ・打撃に関しては好調ながらどうにも運が悪かった
と、締まらない結論に至った。俗に言う「流れが悪い」というやつだ。
たかだか十数試合の中でコレというものを見つけるのに元々無理があるのかもしれないが、結局の所、投手陣がどうにか復調してもらわなければ戦えないとそういう話でもある。
冷静に考えれば、チーム防御率が5点なのだから当然といえば当然だ。
打線の繋がりが悪いのは今に始まったことじゃなく、打率が上がっても繋がらないとなれば何かしら問題があるのでは……という気がしなくもないが、それがわかるのはシーズン終了後だろう。
なんたってここ最近、打率が高かった試しがないのだから比較対象も見つからない。
まずはとにかく菅野の復調を喜び、他の投手も便乗してくれればと願うのが良いだろう。
打撃陣には、個人的に「繋がらないなら放り込め」の精神を期待したい。
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